ここでは皮膚が原因で動きが制限されるメカニズムを説明するよ!!
内容を理解して、患者様を良くしていこう!!
術後の可動域制限が改善しないで困っていませんか??
ヤケドの後遺症で関節の制限が起きていませんか??
その問題、皮膚にあるかもしれません。
昔は術後の可動域が変わらず、私も苦労しました。
今では、術後の患者様を300人以上の方を改善させてきました。
この記事では、この内容が理解できます。
・術後のリハビリで可動域制限が改善しない
・皮膚の役割を良く知らない
皮膚の機能
皮膚は体重比の16%を占めています。
特に大切なのは、皮膚は関節を動かす時に、関節の運動と反対方向に動きます。
MP関節の伸展では背側にシワができます。
背側の皮膚は離れる方向に、掌側の皮膚は近づく方向に動きます。
MP関節屈曲では掌側にシワができます。
背側の皮膚は近づく方向に、掌側の皮膚は離れる方向に動きます。
これは、中の筋肉と皮膚の間に滑走があるため起こります。
左の図では、MP関節伸筋が青の矢印の方向に作用しています。
皮膚が赤の矢印の方向に滑走することで、見た目が変わらずに動作が可能となります。
つまり、皮膚が筋の動きと反対に滑走することで安定した動きになります。
他にも、体温調節・生体防御(免疫)・感覚器として重要とされています。
特に、感覚器としては重要な役割を持っています。
皮膚の原則 5選
原則①
皮膚にシワができると、さらにシワが深くなる運動は抑制される。
原則②
伸長されている部位を弛緩すると、伸長する方向の運動が大きくなる。
原則③
皮膚の動きは関節の骨運動と連動する。
原則④
皮膚は浅筋膜との間に滑走がある。
原則⑤
皮膚の伸張しにくい場所は運動に影響を出す。
原則①
皮膚にシワができると、さらにシワが深くなる運動は抑制されます。
また、伸張された方の皮膚は、伸張しないように抑制されます。
簡単に説明すると、皮膚は短縮する方と伸びる方の2つで運動を制限しています。
体幹の側屈を例にして考えましょう。
体幹の左側屈をした時、左の側腹部にシワが寄ってきます。
逆に右の側腹部は伸張されます。
この時、左側腹部のシワは、これ以上シワが寄らないように運動を制限します。
反対に、右側腹部のシワは、これ以上伸ばされないように運動を制限します。
これら2つが改善することで、皮膚の影響による関節運動は改善します。
この運動変化は、皮膚の物理的抵抗だけでなく、神経作用が関わっていると考えられています。
原則②
伸長されている部位を弛緩すると、伸長する方向の運動が大きくなります。
簡単に説明すると、体幹屈曲の時に背面の皮膚は上下に伸びます。
背面全体の中で、伸張性が低下している場所の皮膚を柔らかくすることで、前屈の可動域が向上します。
これは皮膚の感覚器としての役割が大きく作用しています。
皮膚の制限が改善することで、感覚器が正常になり、反射的な緊張(スパズム)が改善すると考えられています。
原則③
皮膚の動きは関節の骨運動と連動する。
骨どうしが近づく運動では皮膚は関節から離れる方向へ動き、骨どうしが遠ざかる運動では関節に近づく。
また、回旋運動では同方向に動く。
簡単に説明すると、関節が近くなると皮膚は離れて、関節が離れると皮膚近づきます。
例えば、股関節の外転と内転で考えてみましょう。
股関節外転をすると、股関節(大腿骨頭)は関節窩に近づいてきます。
そうすると、股関節外側の皮膚は離れる方向(頭側と尾側)に動いていきます。
逆に股関節内転をすると、大腿骨頭は関節窩から離れていきます。
そうすると、股関節外側の皮膚は股関節に向かって近づいていきます。
そのため、術後の膝関節伸展では、
膝蓋骨よりも上の皮膚を頭側に引っ張る
膝蓋骨よりも下の皮膚を尾側に引っ張る
この2つを行うことで可動域が改善する人が多くみられます。
原則④
皮膚は浅筋膜との間に滑走があります。
浅筋膜との間の滑走が起こらなければ、身体を動かす時に努力性になって二関節筋を動員してしまいます。
二関節筋が優位となれば、筋緊張のバランスが崩れ、姿勢不良が起きます。
他にも、二関節筋は姿勢保持の筋としては不安定な筋が多くみられます。
そのため、浅筋膜との滑走を促すことで、単関節筋の収縮を促すことも可能になります。
原則⑤
皮膚の伸張しにくい場所は運動に影響を出す。
これは、原則②と似ています。
体幹の屈曲をすると、背面の皮膚が伸張されます。
この時、背面の皮膚が一部動きにくいと、前屈の制限が起こります。
脊柱全体で見ても、前屈のカーブが少ないことが分かります。
この前屈のカーブが少ない場所に問題があります。
そのため、動作を確認して、動きの悪い場所を確認しておくと、治療がスムーズに行えます。
皮膚が改善することで変化するもの
- 関節可動域
- 筋緊張
- 姿勢
- 効果的な運動
関節可動域
これは原則③にある通り、皮膚の動きと関節の動きは決まっているからです。
そのため、皮膚の動きを理解して誘導することで、可動域が向上します。
その状態で運動することで、早期の可動域改善が見込めます。
筋緊張
筋緊張(スパズム)が上がっている状態は、二関節筋が優位となる結果で起きます。
原因は皮膚の滑走が起きないことで、身体が動きにくくなり、二関節筋優位となることが挙げられます。
ピチピチの服を着て動きにくい状態と一緒です。
そのため、皮膚の動きを改善することで反射的に二関節筋が緩むことが多々みられます。
姿勢
皮膚の伸張性低下は、姿勢の変化を起こします。
例えば、骨盤が左にシフトしている場合。
左大腿の皮膚は上方に移動しています。
立位で骨盤の側方移動がある場合、大腿の視診・触診で局所的な評価を行うことで、伸張部位の特定ができる。
これは右大腿の皮膚が下方に引っ張られても同じことが起こるため、左右で比較する必要があります。
効果的な運動
視診・触診を参考に、伸張性低下を評価したら運動しやすい方向に皮膚を誘導します。
ここまで勉強した通り、皮膚の動きで可動域の改善や筋緊張のコントロールが可能です。
可動域や筋緊張が改善する方向に皮膚を誘導して、自動運動を行うことで、さらに改善が見込めます。
つまり、皮膚の評価が行えることで、効果的な運動が可能になります。
まとめ
皮膚の動きは上下左右、様々な動きをします。
筋の動きと反対に皮膚が滑走するため、私たちの身体は動くことが出来ます。
反対に皮膚の制限による、可動域制限や筋緊張、姿勢の変化まで起きるため、術後の方を治療する場合はぜひ試してみてください。
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