簡単に見分けるお尻の痛み5選

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骨神経痛やヘルニアのリハビリしているけどお尻の痛みが取れない・・・と思っている人

おしりの痛みは「坐骨神経痛」「ヘルニア」「脊柱管狭窄症」以外にもたくさんあります。

現役理学療法士がお尻の痛みが出る原因(病態)を5つ紹介します。

①馬尾神経症状
②仙腸関節性疼痛
③L5/S1椎間関節性疼痛
④梨状筋、大殿筋、中殿筋のスパズム
⑤上殿皮神経・中殿皮神経・下殿皮神経の滑走不全

どうでしょうか??

坐骨神経痛やヘルニアと診断されても、治せる痛み(痺れ)はあります。
この中ですぐに病院へ行った方が良いものは①馬尾神経症状です。
それぞれを説明していきます。

①馬尾神経症状

馬尾とは1~2腰椎以降の神経の束です。
これの神経の束が圧迫されることで、

『臀部の感覚障害(サドル状感覚障害)』サドル状にお尻の感覚がなくなる
『尿失禁・便失禁』尿便意がなくなる
『反射の消失』腱反射の障害

などがおこります。
馬尾神経症状ですが、24時間以上経過してしまうと、神経症状の回復が不良とされています。
そのため、すぐに病院を受診してください。

②仙腸関節性疼痛

特徴としては「動き始めが痛い」「座っていて立つときに痛い」の訴えが多くきかれます。

仙腸関節は骨盤の関節ですが、広範囲に神経支配の枝をだしています。
そのため、腰椎の疾患や坐骨神経痛との鑑別が難しい場合もあります。

南江堂 村上栄一 著   診断のつかない腰痛 仙腸関節の痛み P32より参照


左は痛みの部位、右はしびれの部位です。
どうでしょうか??
坐骨神経痛と似ており、太ももの後ろやお尻にも症状がでます。
そのため、仙腸関節性のお尻の痛みであれば改善が見込めます。
鑑別の方法ですが、仙腸関節へのストレステストを行います。

・坐骨神経によるお尻の痛みであればSLRで神経を伸ばすことで症状が出現します。
・仙腸関節による痛みであれば、仙腸関節のストレステストをしてお尻に痛みがあれば症状がでます。

つまり、骨盤を固定してSLRをして痛みが出現しない場合は仙腸関節が痛みを発している可能性が高まります。
このように病態を分けるために、あえて痛みを出したり、別の場所を固定して評価することも必要となります。

対応としては骨盤ベルトの着用や座りすぎない(後傾しすぎない)ことが大切。

③椎間関節性疼痛

訴えとしては「立っていると痛くなる」「座っていると楽」の訴えが多く聞かれます。

椎間関節は主に伸展(うしろに反る)で痛みを誘発します。

立位での伸展(後ろに反る)だけでは、背筋の要素も入ってしまうため、関節の痛みなのか筋肉の痛みなのか分ける必要があります。
そのため、うつ伏せで背中から前に向けて背骨を押して、痛みが出現すれば椎間関節と判断できます。
(関節に伸展のストレスを加える。背筋は使っていないため、関節だけで見ることができる)

椎間関節だけでもこれだけたくさんの放散痛があります。

運動と医学の出版社 赤羽根 良和 著 腰椎の機能障害と運動療法ガイドブック 参照

椎間関節の放散痛が出現する人の多くは
「筋肉のコントロールができてない」「太もも(股関節)の前が固い」人に多く見られています。
そのため、腸腰筋や大腿四頭筋の伸張性を検査。モーターコントロールの検査をして治療を進めていきます。

④梨状筋・大殿筋・中殿筋のスパズム

訴えとしては「おしりが張ってくる」の訴えが多く聞かれます。

スパズムとは簡単に言うと筋肉の張りです。
ですが、なぜ、筋肉が張ったのでしょうか。

答えは仙腸関節の動きに関連しています。
仙骨の後傾は梨状筋のスパズム・仙骨の前傾は中殿筋のスパズムに影響するといわれています。
(医道の日本社 John Gibbons著 骨盤と仙腸関節の機能解剖 P90)
そのため、筋が張っていても、仙骨のモビライゼーションが適切となります。

⑤上殿皮神経、中殿皮神経、下殿皮神経の滑走不全

訴えは「お尻が突っ張る」という訴えが多くきかれます。

簡単に言うと神経が引っ張られている状態です。
神経は圧迫されるよりも伸ばされることで痛みを発します。

では、なぜお尻の神経が引っ張られたのでしょうか。
これを理解するためには、組織の層を勉強する必要があります。

運動と医学の出版社 成田崇矢 著   成田崇矢の臨床 腰痛 P279参照

人間の身体はこのように何層にもなっています。
神経は浅脂肪組織や深脂肪組織の中を通っています。

運動と医学の出版社 成田崇矢 著   成田崇矢の臨床 腰痛 参照

浅筋膜や深筋膜の硬さがあると、神経が上手く滑走せずに神経症状が出現します。
評価としては浅筋膜と深筋膜の触り分けをして動きを確認する必要があります。

浅筋膜が固いのか。
深筋膜が固いのか。
どちらも固いのか。

そのため、皮神経の滑走不全には筋のストレッチが適切となります。

まとめ

おしりの痛みには骨盤・腰・お尻の筋肉・神経などたくさんの原因があります。
おしりの痛み=坐骨神経痛やヘルニアではありません
適切に治療すれば治る痛みもたくさんあります
なかには、すぐに病院に行って手術しなければ手遅れになるものもあります。
あなたの説明で患者さんの一生が変わる場合もあります。
しっかり知識をつけて、治せるセラピストを目指しましょう。

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